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【取材記事】中里郷土の森のビオトープ池はいま!

2022年9月15日|カテゴリー:中里郷土の森プロジェクト

練馬みどりの葉っぴい基金の寄付金を活用して造成した、中里郷土の森のビオトープ池。完成から約5か月が過ぎました。子どもたちに大人気になっていると聞き、あらためて訪ねました!

秋には、水草の仲間の花が咲くかも!?

現場統括責任者の松田直孝さん

ビオトープとは、動物や植物が安定して生息できる空間のこと。「森の学習棟」の横にあった草むらに池を整備するなどして、令和4年3月26日にお披露目しました。今回案内してくれたのは、現場統括責任者の松田直孝さんです。

水辺の植物が元気よく育っていました

「植物は勝手に生えたものと、種を植えたものとがあります。葉や茎など一部分のみが水面から出ている『抽水植物(ちゅうすいしょくぶつ)』は、近隣の白子川から種を持ってきて植えました。また、土壌に埋まっていて、ふとした拍子に発芽する『埋土種子(まいどしゅし)』が含まれている土を園内から採取して、いくつか置いてみました。5年ぶり、10年ぶりに見られる植物があるかもしれません。秋は、水草の仲間の花が咲くのも楽しみです。」

ヤゴ採りに夢中の子どもたち

ビオトープ池では、子どもたちが夢中で遊んでいました。

ヤゴ採りが自由にできる池は、子どもたちに大人気

「池の水は水道水を入れ、ポンプを使って空気を送り込んでいます。この3か月でだいぶ変化があり、明るい場所を好むシオカラトンボがくるようになりました。日陰を好むオオシオカラトンボは園内の日陰の池にくるため、それぞれ棲み分けができています。また、ヤゴ(トンボの幼虫)がたくさん生まれています。蚊の幼虫であるボウフラや、ユスリカの幼虫であるアカムシがたくさんいるので、これらを餌として食べるヤゴが育っています。」

ギンヤンマの仲間のヤゴ

インタビュー中も、子どもが「ヤゴが蚊を食べている! 顎がすごく強いよ。」と、捕食中のヤゴを見せてくれました。網の貸し出しもしていますが、浅瀬から手ですくうだけでヤゴが採れるので、子どもたちはヤゴのキャッチ&リリースに夢中でした。

オニヤンマの模型

水辺には、精巧にできたトンボの模型が。飾りとして置いているのですか?

「この模型はオニヤンマです。近くの養蜂場のミツバチが水を飲みにやってくるんです。ミツバチは人を刺すことは滅多にありませんが、オニヤンマの模型を置くと、ミツバチが寄ってこないので置いています。」

ミツバチにとっても、ビオトープ池が新しい水飲み場となっているようです。

池にやってきたミツバチ

人間の手で生き物を増やさない

池の横にある看板

池に魚を入れるなど、生き物を増やすことはしないのでしょうか。

「ビオトープ池は基本的に、生き物が暮らす環境だけを作り、自然の成り行きに任せるものです。ここはとても小さい池で、魚がいればミジンコなどを食べ尽くしてしまうので、魚を入れる予定はありません。」

池にザリガニなどが入ってしまった場合は除外するとのこと。池に生き物を放さないよう、注意する看板もありました。

保護区域の草むら

また、水辺の草むらは保護区域で、立ち入り禁止となっています。昆虫を採取すると足がとれたり、弱ってしまったりするため、生き物の保全エリアを作ったとのことです。

鳥の水浴び観察も

森の学習棟の窓からもビオトープ池を観察することができる

池を作る際、鳥の水浴びシーンを、森の学習棟の窓から見ることができるように設計したそうです。

「鳥は近づくと逃げてしまうので、これまでなかなか水浴びのシーンを見ることはできませんでした。今年は暑いので、ムクドリやオナガ、キジバトなどの水浴びを確認できました。」

これからの季節は、冬鳥が水浴びしている様子を観察ができるかもしれないそうですよ。

生き物たちの飛び石的な水辺を目指して

ビオトープ池の全景

寄付金を活用して、ビオトープ池を造ることにしたのは、どういう思いがあったのでしょうか。

「中里郷土の森は小さい公園です。個体数は少なくても、もっといろいろな生き物がきて、種類が多くなればと思いました。また、ビオトープ池は、日当たりの良い場所に造られているので、空から見ることができます。練馬は東京23区の端っこなので、埼玉からここに生き物がくる可能性もあります。ビオトープの池が、生き物たちの飛び石的な水辺になれば良いと思います。おかげさまで、シオカラトンボがくるなど、順調に推移しているので、ほっとしています。」

ビオトープの変化を楽しんで!

最後に松田さんからメッセージをいただきました。

「ビオトープ池に変化があるたびに、自分たちも大いに楽しんでいます。冬は小さかったヤゴが大きくなり、ヤゴ採りがもっと面白くなるでしょう。また、池に薄氷が張るなど、季節を感じる変化も楽しめると思います。ハイイロゲンゴロウやマツモムシなど、トンボ以外の大型の水生昆虫が数年単位できてくれたらという希望もあります。皆さんもぜひ遊びにきて、新しい発見をしてください。」

練馬区立中里郷土の森

住所:練馬区大泉町1-51-2
開園:9時~17時(10月~2月は9時~16時30分)
休園:火曜(祝日の場合、その直後の祝休日でない日)、年末年始(12月29日~1月3日)
中里郷土の森緑地公式サイト

※「中里郷土の森」は、無料でご来園いただけます。
※ご来園の際は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための対策にご協力をお願いいたします。

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